研究概要 |
地域資源の有効利用と環境保全型農林業システム確立に関する研究を遂行するに当たり,(1)資源経済学,(2)環境経済学,(3)森林保全学,(4)地域計画学,の4つの側面から検討を行った。 資源経済学の側面からは,生ゴミ堆肥化による廃棄農産物リサイクルの可能性について検討を行った。堆肥化した生ゴミを地域内農業に利用する政策と,生ゴミに対する課税政策とを適切に組み合わせることにより,社会的経済厚生水準を最大化できることを明らかにした。 環境経済学の側面からは,香川県内における溜池を対象に,ヘドニック法ならびにコンティンジェント評価法を用いて,溜池の環境資産としての評価をおこなった。溜池は,水田に水を供給する水資源貯蔵の機能だけでなく,地域住民に景観あるいは憩いの場としての公益的サービスを提供していることが明らかとなった。 森林保全学の側面からは,長野県木曽地方を事例とし,ヒノキ林の資源保護と環境保全とを可能にする施業システム構築の可能性について検討を行った。そのために,木曽ヒノキ林の種組成,林分維持機構に関して実態調査を実施し,ヒノキの天然更新の初期過程に関与する要因を明らかにするとともに,望ましい森林管理方法のあり方を明らかにした。 地域計画学の側面からは,土地利用計画論のタイプを規定する地域特性の抽出と,計画論のタイプによる地域区分の理論的枠組みについて検討した。なかでも,中山間地域における地域資源の利用・管理計画のマニュアルを作成した。
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