研究概要 |
粘質軟弱な水田跡地土壌は果樹栽培に好適とは考えられず、改善が必要である。これに関して以下のような検討を行った。 (1)転換園の土壌物理性の現況調査:青森県南津軽郡平賀町を中心とする転換樹園地を転換時の土層改良法(無施工、耕盤破砕、客土など)によって分類し、そのうち16カ所について深さ別(10,30,50cm)に土壌の三相率、透水性、pF水分特性、土壌硬度、貫入抵抗、コンシステンシーなどの物理性、力学性の調査測定を実施した。その結果、低地水田跡では粘質、軟弱、無構造であり、傾斜地水田跡では多礫質、堅硬の特徴に富み、物理特性に大きな差があることが確かめられた。また、樹園地内でも樹列下と樹間とでは土壌密度が著しく異なり、樹下に伸入する直根よりも樹間土壌に横に伸びる根が、強風などに抵抗して樹体直立に果たす役割の大きいことが明らかとなった。 (2)転換園の土壌物理性の改善:石灰質の施用は化学性を改良するのみならず物理性の改善にも効果があるとされている。実験として、主成分がカルシュームである安価な貝殻粉末混入区を転換園及び対照傾斜樹園地にそれぞれ4区(0,200,400,600kg/10a)設けて表層の物理改善効果を現在試験中である。明確な効果の発現はまだ認められていないが、表層土壌の中間隙領域にあたるpF2〜3の範囲で無混入区との差が広がる傾向がある。 (3)混入割合を変えて石灰添加処理及び貝殻粉末添加処理を施した樹園地の下層土をポットに詰め、土壌物理変化確認の実験を継続中である。
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