低平地の水田跡地に立地する転換樹園地は、転換直後は粘質、軟弱など構造性に乏しい土壌のために果樹栽培に好適な土壌物理環境とはいえず、構造発達の過程と構造改善とに関心がもたれている。このことに関して平成5年度から2年間、青森県南津軽郡平賀町および中津軽郡相馬村の転換樹園地において次のような検討を行った。 (1)開園後の経過年数と土壌物理性の変化:三相分布、透水性、間隙間径分布などの物理性の経年変化は、表層土壌での差異は少なかったが、中下層土壌では経年的にわずかに変化する傾向がみられた。ただし、この傾向は必ずしも構造的な発達方向とは限らない。 (2)開園時の土層改良法別の土壌物理性の相異:一般的は土層改良法のうち、客土は耕盤破砕のみの場合に比べて土地が堅硬になることが多く、樹体の支持および機械の走行性で有利であることが分かったが、堅硬の度合いが過大となる傾向がみられた。 (3)果樹の風倒抵抗と土壌物理性:台風などの強風による倒木被害は、土壌の物理性とかなり高い相関のあることが明らかとなった。とくに密度系の物理性と関係があり、固相率、仮比重の大きい樹園地の被害が少なかった。 (4)土壌改良資材施用による転換樹園地の土壌物理性の改善:貝殻粉末(海産加工廃棄物の再利用処理品)施用現地試験を行った結果は、表層土壌の密度系物理性はわずかに改善される傾向を示したが、永続性については確認できず明瞭な効果を明らかにするには至らなかった。しかし、続いて実施されたポット実験では、改良資材施用区の間隙径別の効果ならびにコンシステンシーへの影響が明らかにされた。
|