都市の過密化、農産物輸入の増大、とりわけ米の輸入開始という農業を取り巻く厳しい情勢の中で、耕作放棄地は急速に拡大する様相を見せている。本年度においては、研究の初年度として、まず全国における耕作放棄地の拡大の実態を明らかにして、研究の意義とその方向性を明らかにした。このままこの状況を放置すれば、近い将来耕地の20%がその本来の生産基盤としての特性を失い、食糧生産の基盤のみならず、水資源保全、国土防災の機能にも大きな影響が出るであろうことが懸念されるのである。 さらに土地と水という代表的な地域資源のありかたを、平地における土地利用、とりわけ水田または畑の耕作放棄の実態とその要因を把握することによって明らかにしようとした。 調査の方法としては、現地での聞き取り調査、表土厚さ、水路断面変形、用排水路の水質分析を行い、放棄農地の環境に与えている影響について考察を加えた。 また、放棄農地を有する地区の水路、道路などの付帯施設の維持管理状況についても調査を進めた。こうして得たデータを、統計手法を用いて分析中である。耕作放棄を誘発しやすい要因が明らかになれば、耕作放棄を抑制する対策の検討が可能になるものと考えられる。
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