研究概要 |
土壌内に挟まれた礫層が,水移動・塩移動に与える影響を実験的に検討した。 内径4.8cmのアクリル円筒に砂(鳥取砂丘砂・乾燥密度1.5g/cm^3)のみを充填した砂カラムと,毛管を切断するために礫層(深さ10〜12.5cm・粒径5〜8mm)を砂層間に挿入した礫カラムをそれぞれ数本作成した。初期状態としてカラムに十分な量の蒸留水を灌水し,重力排水させた後,地下水位が25cmになるようにNaCl溶液(0.1M)の水槽に静置した。実験はガラス室で約1カ月間行った。 実験開始後8日目までの積算蒸発量は砂カラム・礫カラムともに40mmであった。しかし,その後,礫カラムの蒸発量は激減し,その量は礫上方の砂層の水分減少量とほぼ一致していた。すなわち,礫カラムでは礫上方の砂層への水分補給はなく,水分量は蒸発に伴って減少した。一方,砂カラムでは蒸発に見合うだけの水量が下層から補給されており,水分量の経時変化はなかった。 砂カラムでは蒸発によって表層に残された塩分の集積がみられた。礫カラムにおいても礫より下層での濃度の増加がみられたが,移流による移動がないために濃度の増加はわずかであった。 以上の結果より,礫層の挿入により毛管を切断した場合,礫層を通過する水分量はわずかであり,塩類の表層への集積を防ぐことが明らかになった。
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