研究概要 |
ため池の水質改善を図るための基礎的研究として、DO,pH,CODなどの水質指標が撹拌・曝気によってどのように変化するかを、実験的に検討した。さらに、ため池水質実態を水系レベルで調査・分析した。 (1)現地実験:高松市上天神町に位置する農業用ため池「高田池」において、風車式水質保全装置を商用電力で作動させ、水質の経時変化を測定した。ため池の水質はかなり汚れていたが、保全装置の作動に伴う水質変化はほとんど見られなかった。これは、水中の酸素量変化に関わる因子相互間の作用が複雑であること、装置の動力が水容積に対して相対的に小さかったことに起因するものと判断された。本年は夏季の異常な長雨で十分な実験が出来なかった。次年度は装置の改良を行って現地実験を継続する必要がある。 (2)基礎実験:実験室内に水槽を設置し、スクリュー方式(プロペラにより水を撹拌)と空気噴射管方式(空気ポンプにより水中に空気を混入)により、撹拌・曝気に伴うpH,DO等の水質指標の経時変化を測定した。撹拌・曝気の強度と酸素供給能力との関係が明らかとなり、空気噴射管方式の方が空気溶解効率が大きいことが解った。 スクリュー方式では水表面からの曝気を増大させること、噴射管方式では撹拌効果を与えることがそれぞれ重要であることが明らかとなったので、次年度はこの点を考慮するとともに、更に細かな実験条件を与えて実験を継続する。 (3)ため池水質の実態:ため池水質は標高が低いほど悪く、このことは人口、生活排水量との関わりが大きいことがわかった。
|