研究概要 |
ため池の水質改善を図るための基礎的研究として、DO,pH,CODなどの水質指標が攪拌・曝気によってどのように変化するかを、水質保全装置の設置されている現地と実験装置を用いた室内基礎実験により検討した。 (1)現地実験: 高松市上天神町に位置する農業用ため池「高田池」において、風車式水質保全装置を商用電力で一定回転数で作動させ水質を測定した。本年度は、攪拌水流によって水面が波立つようにするため、深部に取り付けられていたスクリューを水面近くに移動して4回の実験を行なった。その結果、装置作動に伴う平面的な影響範囲や時間経過に伴う垂直方向の水質の変化が明らかとなり、本装置の場合池の水量に比べて攪拌・曝気能力は小さいことがわかった。必要規模については、今後基礎実験の結果を踏まえて検討する必要がある。 (2)基礎実験:実験室内に水槽を設置し、スクリュー方式(プロペラにより水を攪拌)により、攪拌・曝気に伴うpH,DO等の水質指標の経時変化を測定した。本年度はとくに攪拌流量と水質変化との相互関係を明らかにするためプロペラの翼径、回転数、回転方向(上、又は下向き流水)等の条件を種々設定して実験を行なった。実験には水道水をそのまま使用する場合と、容存酸素をゼロに設定する等の工夫をした。その結果、水槽内における流水及び水質の垂直的、平面的な経時変化が明かとなり、高速かつ下向き流水によって攪拌・曝気の効果が顕著に現れることが分かった。 (3)水質浄化材の一つとして木炭を用いて予備的実験を行ない、濁度など物理的浄化効果が顕著であることが認められた。次年度詳細な物理・化学的な水質浄化実験を行なう予定である。
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