土を締固めて造る不飽和構造物の、築造後の長期的安定をはかるためには、不飽和土の圧縮(圧密)および強度特性を十分に把握しておく必要がある。このような観点から、本年度は、地域の土木材料として広く利用されているまさ土を使用し、風化の程度の差による粒度組成や飽和度、乾燥密度など初期状態の相違がその水分特性および圧密特性に与える影響を高速土壌遠心機によるpF試験や圧密試験などによって実験的に検討した。供試体は、容器に入れた5種類の粒度の異なる試料を静的に締固めて作成した。その結果、次のような知見を得た。 (1)不飽和土を一定の乾燥密度に締固める場合に必要な応力は、同一試料では飽和度が高いほど、また試料別では粒度配合の良い土(均等係数が大きい)ほど小さくなる。 (2)一定の乾燥密度のもとで、粒度組成と飽和度の異なる供試土を正規圧密領域の応力で24時間の圧密を行った場合の沈下量は、(1)の結果を反映して、飽和度が高いほど、また粒度配合の良い土ほど大きくなる。 (3)まさ土は、砂質土の範疇に入り透水係数が大きいため、飽和度が80%近くなっても24時間沈下量に対する初期(6秒後)沈下量の比率は高く、80〜90%程度となり、それ以降の時間(対数)〜沈下量曲線はほぼ直線となる。 (4)pF水分曲線は、粒度組成によって大きく影響され、粗粒分が多くなるにつれて、低含水比側へシフトする。 (5)pFが一定のとき体積含水率は、粘土分の含有量の増加に比例して高くなる傾向がみられた。
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