研究概要 |
1.学内シラス試験圃場における不織布施工斜面の侵食および植生状況 平成7年度は、年間の降雨量が2170mmと例年に比べ少なく、また夏期の異常高温は熱帯夜の記録となるほどに継続し、植生の繁茂は大きかった。従って試験地の裸地からの1年間の侵食量は93.43t/ha、不織布施工区からは0で測定値が得られなかった。今年度の特徴として、植生の中でハギの成長繁茂が著しく、種子無しの不織布施工区にも隣接した種子区からペンクロス系の植物の侵入が盛んであった。 2.現地の畑地における不織布施工法面の植生状況 田野町のシラス畑地法面試験区八重1号地、2号地においては、約4年経過した10月の段階で、不織布施工区の植生状況は良好であり、むしろ過繁茂の状態であり、2年目位から特に、ハギの繁茂が著しい。八重2号地の幅1mのワラ芝工区、植生ネット区では、植生が劣るが、法面の安定に大きな影響は見られなかった。八重4号地では、簡易植生ネット工に不織布施工を重ねたヵ所で植生の効果が見られた。 清武町のシラス畑地法面試験区時屋2号地、3号地においては、約3年経過した段階で、全体的に植生は安定しているが、前者の下方法面で一部植生の不十分な所が見られ、侵食の危険はないものの、継続観測を要する。 3.バイオマスC,Nおよび細菌、糸状菌の計数測定 学内シラス試験圃場におけるバイオマスC,N,全炭素、全窒素の量は、裸地に比べ不織布施工区の根圏域では大きく、特に種子有り区ではバイオマスCおよび全炭素が大きいことがわかった。八重、時屋の試験法面については、平成6年の当初から測定を始め、不織布施工区のバイオマスは年々増加し、特にバイマスCの増加が著しい。バイオマスCと全炭素、バイオマスNと全窒素の其々の相関性について、何れも高い正の相関性が見られたが、微生物への気象条件の影響を考慮する必要がある。
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