研究概要 |
1.研究目的:本研究は、都市近郊地域の農業集落において本来持っていた農業・農村的土地利用と新たな都市的土地利用との共存ができる豊かな田園居住環境の保全と土地利用計画及び空間創出の必要性が急務であり、そのための保全手法や形成手法を研究する計画研究を目的としている。 2.研究の概要:都市近郊農村の田園居住環境を保有している農業集落として、静岡県豊岡村東地域(旧敷地村)の家田、敷地、大当所の3大字、8集落を対象に田園環境要素(水、緑、農地、宅地、建築形態、社会的条件などストック)の実態調査、および住民参加のワークショップを通して検討を行った。 (1),土地利用については、明治初期、昭和初期、昭和49年、現在の土地利用図により集落の土地利用の変遷を把握し、併せて本家・分家の関係や新規宅地の動向を調査して集落構造の解析を行い、宅地化の特徴を把握した。 (2),実態調査により地域全体の水、緑、農地、宅地などの田園居住環境要素について把握し、屋敷の利用や建築形態などは地区を限定して詳細調査を行い、数量的資料は建築確認申請(昭49年以降)と固定資産台帳から解析した。この他社会的条件などのストックを聴取り調査した。この調査結果をもとに集落地区計画の検討を行った。 (3),地域住民参加によるワークショップを行い、計画づくりを行う中で、具体的な地域の田園居住環境要素のストックに対する認識や評価の形成を図り、豊かな田園居住環境の保全や形成についての検討を行った。 (4),以上の調査をもとに豊かな田園居住環境の保全や形成を図るために、現行法や事業制度の整理および問題点について、他の事例地区との比較も行い手法の総合的な検討を行った。特に市街化調整区域のおける農業集落の問題点と課題が把握できた。ただし、田園居住環境の保全と形成の具体的な実現手法は今後の課題である。
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