今日の農村地域では、地域住民の通勤・通学・日常生活の生活圏域は、モータリゼーションの進展にともなって、広域化してきたいる。た農産物の流通においても、農道をふくむ道路ネットワークの整備の進展ならびに農産物の輸送機関の多様化、仕向け先の多元出荷にともない、広域化・遠距離化してきている。このような状況下において、農道網にあける各種農道の機能を区分し、それぞれが有機的に効果的に働くような農道網の配置のあり方を検討した。 1.農道網の配置をその機能の面からとらえ、リンクの概念を導入した。3つのリンクに区分し、各リンクのネットワーク特性、交通特性を示した。また各種農道事業で実施されている農道をリンク別に分類した。リンクIIIは、基幹的農道である広域農道と一部農免農道がこれに該当し、市町村相互を連絡するトリップ長の長い路線である。トラフィック機能を有するので速い走行が重視され、計画交通量が大きい。リンクIは、一般農道、団体営農道などで、集落内および圃場から農家あるいは農業施設を結び、トリップ長は短く、計画交通量は少ない。アクセス機能を重視するので速い走行を要しない。リンクIIは、主として農免農道と一般農道がこれに該当し、主に集落間を結び交通特性はリンクIIIとIとの中間である。 2.深川地区において、パーソントリップ調査を実施し、その結果をもとに既存の農道の機能をリンク区分した。農道ネットワークとして、リンクが有機的に融合していることを確かめた。 3.農産物輸送におけるリンクIIIの役割は、農業施設やノードIIの施設へのアクセス時間の短縮効果や輸送費用の節減効果などを図ることにある。リンクIIIの配置計画においては、農産物輸送機関分担率とノードIIの位置の把握が極めて重要であることが判明した。
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