本年度はロータリの前方軸回転数160rpm、後方軸回転数314rpm、レーキ目開き30mmとし、KC1溶液散布法で土壌の反転性を調査した。耕うん方向に沿った8地点の耕土のEC値変動係数は0.10〜0.15と比較的小さい値であり、本2軸ロータリによる土壌の飛散状態は安定いるものと推察された。耕土の土塊径別重量割合をみると、土塊径2mm以下が49.2%と多く、土塊径32mm以上は僅か5%程度であった。一方、前方ロータリ前に飛散・堆積した土壌の土塊径別重量は2mm以下が42.0%と上記より小さかった。これは耕土が再耕うんされていることを表わしている。土塊径16mm以上の重量割合は、上層(2.9%)より下層(4.8%)が大きくレーキ装着の効果が認められた。 土塊径16mm未満の耕土の平均EC値が505μS/cmであるのに対し、土塊径16mm以上のEC値は719μS/cmと高かった。また、KC1浸透層(表層4.4mm)の各土塊への移動割合をみると、土塊径16mm以上の場合、その値は上・中・下層とも耕土の土塊径別重量割合(16mm以上の土塊重量割合)より大きな値となっている。これらは前方ロータリにより上層で大きな土塊が形成されたことを表わしている。前方ロータリ前に飛散・堆積した土壌のEC値は900〜2180μS/cmであり、耕土のEC値(381〜939μs/cm)より遥かに高い値であった。したがって、前方ロータリ前に堆積した土壌は、主に前方ロータリによる投てき土壌で形成されたものと考察される。KC1浸透層が耕うん後の各層に移動した割合を計算すると、上層へ40.2%、中層へ30.6%、下層へ29.2%という結果であった。この結果は従来のロータリによる土壌反転性の結果とほぼ同じであり、2軸ロータリによる土壌反転性の向上はみられなかった。今回の試験では土塊径16mm未満の土壌割合が約95%もあるのに対し、レーキ目開きを30mmとした点に、土壌反転性の向上が得られなかった原因があると推察される。
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