研究概要 |
耕土の反転性と土塊分布については、試作2軸アップカットロータリと市販アップカットロータリとの間で比較・検討を行った。また,試作ロータリの所要トルク・動力も調査した。 両ロータリによる耕土の平均土塊径は,2軸ロータリの方が市販ロータリより小さい値を示した。これは2軸ロータリの場合,土壌の再耕うん量が市販ロータリより多いことを示唆するものと推察される。土塊径別のEC値を推定したが、土塊の大小によるEC値の相違は見られなかった。2軸ロータリのレ-キ棒間隔や前・後方ロータリの回転速度が変わっても,耕うん前表層(KCI溶液浸透層)から耕うん後各層への移動割合には,差異が現われなかった。この原因は,2軸ロータリの場合、当初の予想より土塊が細かくなった点にある。つまり,本試験で使用したレ-キ棒間隔が10〜20mmであるのに対し,耕土の約90%は土塊径8mm以下という結果に表われいる。市販ロータリの場合,耕うん前表層から耕うん後下層への移動割合は約12%であり,上層への移動割合(約57%)よりも著しく低い値を示した。2軸ロータリの場合、耕うん後下層への移動割合は28〜36%と市販ロータリより2〜3倍も高く、逆に耕うん後上層への移動割合は市販ロータリよりも相当低い値である。したがって,2軸ロータリの方が市販ロータリより耕土の反転性能がよいと判断された。この反転性能が優れた原因は、前・後方ロータリの回転速度差に伴い、両ロータリによる投てき土塊の運動エネルギーが異なるためと考察される。 作業時の前方ロータリの所要動力は2.9〜3.6psであった。また,後方ロータリの所要動力は3.8〜8.7psであり,前方ロータリに比べ大きな値となった。比トルクは0.242〜0.329N・m/cm^2となり,一般のダウンカットロータリより大きくなる傾向が認められた。
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