(1)水の蒸発機構の調査のため、コロナ放電に暴露後の水(処理区)と非暴露の水(対照区)の蒸発量を比較した。また、(2)電場、空気イオンを遮断したイオン風とそれらを伴うイオン風によりダイコンを乾燥し、電場、イオンのダイコン乾燥に及ぼす影響を検討した。さらに、(3)温・湿度を調節した空気の送風を伴う乾燥室内で、シイタケのコロナ放電による乾燥促進実験を行った。以上3項目につき以下のような結果を得た。 実験結果 (1)処理区の蒸発速度は対照区と比べ遅くなることもあるが常時ではなく、蒸発遅延現象は確認できなかった。温度の経時変化の結果から、コロナ放電中の蒸発促進により潜熱を奪われるため処理区の水温は低下し、放電終了後は空気からの熱移動により水温は上昇することがわかった。これらから、放電後の蒸発遅延現象とされるものは、水温の低下に伴う熱収支の変化に原因があると思われ、環境要因の変化に影響されやすいため、常に現象が観察されなかったものと推察される。 (2)電場、空気イオンの有無にかかわらず、ダイコンの乾燥に違いはみられず、ダイコンの通常の乾燥特性を示したことから、電場、空気イオンはダイコンの乾燥特性に影響を及ぼさないものと思われる。 (3)イオン風によるシイタケの乾燥促進はいずれの実験条件でも認められ、その増加率はほぼ電圧に比例、風量に反比例し、最大で1.6倍前後に達した。含水率の低下に伴い増加率も低くなるが、十分低い含水率までイオン風による乾燥促進の効果がみられ、コロナ放電装置を局部的な送風機として利用する効果も期待できそうである。製品の品質評価指標として収縮率、色彩、吸水率(乾燥後の水中浸漬による戻りの評価指標)も測定した結果、収縮率は対照区に比べ有意に小さく、色彩はb値が対照区より大きくなったが、吸水率には差がなかった。
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