平成5年度に、モデルサイロを用いて、表面の被覆材が内部への熱侵入を抑制する効果を検討した。その結果、アルミフィルムは日射の反射率が高いために、サイロの表面温度は気温以上に上昇せず、内部の穀物温度の上昇を抑制できることが明らかになった。つまり、アルミフィルム被覆は、低コストでサイロクーリングを実現することができる。そこで、本年度は、適当な被覆材を選択するために、材質と表面温度の関係を論理的および計測結果から考察した。 (1)放射率がεの材料における表面温度の平衡状態を、気温、直達放射、熱伝達係数等により数式で表した。 (2)種々の熱伝達係数と材料の放射率ををパラメータとして、平衡温度を計算した。その結果、直達放射がある場合、材料の表面温度にはその放射率にり大きな差が生ずることがわかった。 (3)種々の表面状態の材料に赤外線ランプにより放射を与え、温度の平衡状態を測定した結果、種類により大きな差が認められた。したがって、サイロ表面の被覆については、材料の選択が重要である。 (4)放射計により、平衡状態における熱収支を測定した結果、特に放射率が低い範囲で、理論値と測定値に差がみられた。今後、測定技術を確立し、被覆材の適正な選択を行う必要がある。 (5)屋外で熱の平衡状態を測定した結果、表面温度は風速の影響を強く受け、その影響を無視できないことがわかった。
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