本研究は、農業機械の設計・開発に高精度の数理解析手法を提供できる有限要素法の解析結果を、実験的に検証し、それをフィードバックするシステムを確立して、解析技術の大幅な向上を図ることをねらいとしている。 具体的には、変形解析システム(実験的手法)と、精密な弾塑性応力解析システム(解析的手法)、ならびに実験結果のデータベースとを結合した検証システムの開発、さらに、このシステムを拡張したハイブリッド有限要素法の開発を試み、車輪の走行性の問題にこのシステムを適用し、その性能を評価することを試みた。本年度の研究実績の概要は次の通りである。 (1)これまで行ってきた土-機械系の変形問題の有限要素解析条件に合わせた実験(上記、土槽実験装置)を行い、変形解析ならびに応力解析をベースにした検証システムによる解析結果との適合性を検討した。 (2)走行実験データを蓄積しデータベース化を図る。同時に、各種の有限要素解析との比較を行う検証システムの統合化を行った。 (3)データベース化した実験・解析データの総合分析システムを開発した。 (4)検証システムにより有限要素解析結果を合理的に評価し、さらに当該有限要素法の問題点を検討した。 (5)変形-応力解析システムを有限要素法と結合させたハイブリッド解析法と結合させたハイブリッド解析法を開発したが、変形解析データの精度向上のために時間を要し、実際の解析には至らなかった。 (6)全体のまとめ(報告書の作成、学会報告など)を行った。 なお、蛇足であるが、本研究に関連したシンポジウム(農業機械学会主催)を実施した(農業機械開発・設計における数値解析技術の活用、平成7年2月2日〜4日、琉球大学大学会館)。
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