本研究は、農業機械の設計・開発に高精度の数理解析手法を提供できる有限要素法の解析結果を、実験的に検証し、それをフィードバックするシステムを確立して、解析技術の大幅な向上を図ることをねらいとしている。具体的には、変形解析システム(実験的手法)、精密な弾塑性応力解析システム(解析的手法)、ならびに実験結果のデータベースとを結合した検証システムの開発、さらに、弾塑性有限要素法の開発を試みた。車輪の走行性の問題にこのシステムを適用した。 精密土槽実験装置を利用した車輪走行実験において、土の変形挙動を精度良く解析するシステムを開発し、車輪下の土の変形解析を行った。これによって車輪の回転に伴う変形パターンを明らかにした。土の変形状態はけん引力の最大値が発生する前後で急変することを示した。ひずみ(ひずみ増分)データを用いて応力解析を行うシステムを開発して、すべり率26%の実験結果に適用した。走行実験データを蓄積しデータベース化を行い、実験・解析データの総合分析システムを開発した。これに有限要素解析との比較を行う機能を付加して検証システムを構築し、有限要素解析結果を総合的に評価を行った。変形-応力解析システムを有限要素法と結合させたハイブリッド解析法を開発したが、変形解析データの精度向上のために時間を要し、実際の解析には至らなかった。 なお、蛇足であるが、本研究に関連したシンポジウム(農業機械学会主催)を実施した(農業機械開発・設計における数値解析技術の活用、平成7年2月2日〜4日、琉球大学大学会館)。
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