研究概要 |
1.牛乳k-カゼインのグリコマクロペプチド(106-169域)は単球/マクロファージに結合し,インターロイキン-1レセプターアンタゴニストの生産を誘導することによりBリンパ球やヘルパーTリンパ球の増殖・分化を抑制する。また、グリコマクロペプチドの単球/マクロファージへの結合は,グリコマクロペプチド分子内のシアル酸を末端にもつ糖鎖やホスホセリン残基のような強い負の荷電などの複数の負の荷電を介して起こる。 2.牛乳k-カゼインのラクトフェリンは肥満細胞からの化学情報伝達物質の遊離を抑制することにより,抗アナフィラキシ-活性を有する。また、ラクトフェリンはペプシン消化することにより,未消化ラクトフェリンの場合とは異なった機構で作用する抗アナフィラキシ-成分を生じる。 3.牛乳αS_1カゼインとk-カゼインはマクロファージの活性化に対して抑制的に,β-カゼインは促進的に働き、抑制的に働くαS_1カゼイン,k-カゼインおよびカゼイン由来の抑制ペプチドはすべてマクロファージに結合し,促進的に作用するβ-カゼインやそれ由来の促進ペプチドはマクロファージに結合しない。 4.鶏卵アビジンはサプレッサーTリンパ球に結合し,サプレッサーTリンパ球上への1L-2レセプターの発現を抑制することにより,サプレッサーTリンパ球の増殖を抑制する。また,ウズラ卵オボアルブミン,オボトランスフェリン,オボインヒビターおよびリゾチームもTリンパ球やBリンパ球の増殖抑制作用を有しており,ウズラ卵オボトランスフェリンの抑制作用はリンパ球に特異的な細胞障害性とリンパ球増殖抑制成分の誘導による。さらに,ウズラ卵オボインヒビターのリンパ球増殖抑制作用はリンパ球増殖抑制因子の誘導による。
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