1.コンポストによる種子発芽阻害作用の作物種間差異 まず7種の飼料作物とコマツナを用いて14種の家畜排泄物コンポストの生育阻害効果を、種子処理72時間後の発芽率、草丈、根長、新鮮物重、水吸収量などのパラメータを用いて比較した。その結果、阻害効果は検定植物や指標間で異なり、単一の植物種の特定の測定指標で家畜排泄物コンポストの一般的な阻害活性を測定することは困難であった。次に約30種の園芸・飼料作物を供試して、特定のコンポストの種子発芽阻害活性を検討した。その結果、このコンポストはシロクローバなど一部のマメ科植物の種子発芽を選択的かつ強力に阻害することが明らかとなった。これらのことから、現在多くの研究者が利用しているコマツナの種子発芽によるコンポスト類の阻害効果検定には必ずしも普遍性がないことが示された。したがって、コンポストの種子発芽阻害効果を検定するためには利用作物種子を用いることが望ましく、一般的な発芽阻害効果を検定するためには数種の小粒の作物種子を供試することが必要である。 2.種子発芽阻害未知成分の同定と阻害活性 コンポスト中の種子発芽阻害成分として現在までに同定してきた長鎖脂肪酸類、フェノール酸類の他に4種の塩素化フェノール酸を同定した。これらは阻害作用の選択性が強い。 3.コンポスト中の発芽阻害成分軽減対策 コンポスト中の種子発芽阻害成分の起源、生成過程は阻害成分の種類によって大きく異なっていた。一般に腐熟化の過程で阻害成分が減少するものの、発酵過程で生成蓄積するものもあり、阻害成分ごとに軽減対策を講じることが必要である。
|