本地域におけるイネ科マメ科混播草地の利用性向上と永続性についての知見を得るため、今回度造成したイネ科草草地の季節生産性と放牧強度の違いによる草地生産性を明らかにしようとした。本試験は、放牧利用を考慮した立性型イネ科2草種(ガットンパニック、ハイブリッドネピアグラス)に対し、踏圧を行った場合の生長に関する諸形質と乾物生産に及ぼす影響を解明するため、試作の踏圧装置を用いて検討した。試験期間は7月から10月まで4週間隔で3回の刈取り調査を行い、主区として、踏圧処理区と対照区を設け、副区として刈取り高さを2段階とする試験区を設けた。踏圧装置設定重量と接地圧は高い正の相関関係にあり、本試験では接地圧0.15kg/aとなるように設定した。 両草種共に踏圧処理によって、乾物生産が抑えられる傾向を示した。しかし、その低下傾向には草種間の違いが認められず、対照区に対する踏圧区の相対値は各刈取り次を平均して、ガットンパニックで60、ハイブリッドネピアグラスで57を示した。草丈、茎数、葉面積についても、踏圧による低下傾向が認められた。葉部/茎部比については踏圧によって、両草種共に対照区と比較して増加した。乾物消化率は対照区と比較して葉部割合の高い踏圧区の方が、同等かより高い値となった。土壌硬度は刈取り回次の進行に伴い、対照区ではほぼ一定の値で推移するものの、踏圧区では高い値となった。試験圃場の土壌3相分布においては、気相の割合が踏圧区で低下する傾向であった。また、いずれの調査項目についても、刈取り高さの違いによる影響は認められなかった。 踏圧によって、地上の乾物生産は抑えられたが、踏圧耐性能力に対する供試草種の差はほとんど認められなかった。また、踏圧装置に与って、踏圧耐性能力の比較検討が可能であると示唆された。以上の結果は取りまとめ、草地学会に投稿予定である。
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