研究概要 |
メタン生成,硫酸還元,硝酸還元を各々阻害剤によって機能を停止させた場合のセルロース,キシラン,ペクチン,デンプン発酵の様相を調べた.その結果の概略を示すと表1のようである. この表から明らかなように各阻害剤はBESを除いて多糖の分解を有意に阻害した.メタン生成の阻害は予想に反し,多糖分解にあまり影響しなかった.メタン生成による電子処理は必ずしも多糖分解と供役していないのではないかと思われた.一方,硫酸・硝酸還元は硫黄や窒素の同化と関係しているのでメタン生成のように電子処理機能のみを考慮するだけでは理解できないと思われた.水素の蓄積はどの阻害剤を添加しても認められたが,ルーメン,大腸のいずれの場合にもBESを添加すると著しく多くなった.BES添加で,ルーメンでは細菌はルーメンと大腸で存在比が異なる可能性が示唆された.そこで,次に電子源を異にする硫酸還元菌とメタン菌数を計数した結果を表2に示す.メタン菌は一般にルーメンで多く,硫酸還元菌は大腸で多かった.水素利用に限るとルーメンではメタン菌が優占菌になる.硫酸還元菌は大腸での電子利用にかんする優占菌であることがわかった.
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