乳用種(ホルスタイン種去勢牛)を肥育している3農家について育成された牛の導入から仕上・出荷までの飼料などの肥育条件および出荷牛の枝肉格付評価を調査した。3農家の中で3農家の枝肉格付時における肉質評価は、いわゆる標準以上の等級3以上の割合が50%以上であり、全国平均(44%)を上回っていたが、1農家の肉質等級は3以上が約30%であり全国平均を下回っていた。このような相違が、肉質等級を評価するためのどの項目に原因しているかを知るために、個々の牛についての各種肉質評価項目の評価を基にして各評価間の関連性を解析したところ、肉質等級の低い牛は、「BMS No.」、「締り」、「きめ」評価が低いものが多かった。また、これらの項目間の関連性をGOODMAN-DRUSKALのgammaなどの値から解析したところ、これらの3項目は互いに連動していると判断された。このことは枝肉の肉質評価を上昇させるためには、これらのいずれかの項目の評価を上げることによってその他の項目の評価も上昇し、結果的に肉質等級を向上させることにつながると考えられた。これらの中で「BMS No.」と「締り」は脂肪蓄積に関連していることから、筋肉中の蓄積脂肪の性質にも関連していると考えられた。そこで肉質評価が行われる胸最長筋を枝肉から採取し、筋肉の全脂肪の脂肪酸塑性を分析し、枝肉の肉質評価との関連性を解析したところ、肉質等級を3以上と2以下の2群に分けた場合、リノール酸、オレイン酸およびパルミトレン酸の含量のみで、これらの2群を60〜80%の確率で判別できることが明らかになった。
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