研究概要 |
目的:家畜のマイクロサテライトDNA多型の研究は、それを支配する遺伝子座位が染色体に多数散在して存在することから、遺伝子地図の作製や標識遺伝子への利用として注目され、世界各国で一斉に研究が開始されている。本研究の遂行中にも、1994年に牛と豚で、これらの遺伝子座位の遺伝子地図の一部が出来あがってきている(Genetics,136:231-245.,136:619-639.)。また、その他の家畜・家禽でも、マイクロサテライトを利用した遺伝子地図の作製が試みられている。本研究の目的は、RIを使用せずに、新たなマイクロサテライトの検出を試みること、及び、その検出のための反復配列プローブをPCRによって合成し作製することである。 結果:マイクロサテライト検出のためのプローブにマウス(MUSLYT3AI)と豚(MP77)の反復配列部位DNAのPCRによる合成産物を利用した。これら合成したDNAをDIGで標識プローブとし、まず、豚において実験を行った。豚DNAを制限酵素(Mbo I)で処理し、pUC19のMCSに挿入し、JM109に入れ、得られたコロニーとハイブリダイズさせた。一プレート当り約800〜1000の白コロニーの内5〜10個のコロニーのものにシグナルが得られた。これらのコロニーから、プラスミドを抽出し、挿入DNAをシークエンスしたところ、(AC)_4〜_<10>のものが12個、及び(GT)_5〜_<12>の反復配列を持つものが現在まで8個見つけだすことができた。これらの反復部位の5つのものについてフランキング部位のプライマーを合成し、マイクロサテライトの変異を、屠場からのランダムなサンプルについてスクリーニングした結果、2つの座位で個体変異がみられた。また、これらのプローブと他の家蓄(牛、馬、鶏)の制限酵素処理DNAとのサザンブロットでも、反応が得られたことから、本方法はこれらの動物にも応用可能であることが判明した。
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