研究概要 |
目的:家畜のマイクロサテライトDNA多型は、一般にその座位が哺乳類のゲノム中の染色体上に散在し、また著しい遺伝的多型を示すことから、集団内での個体識別や親子鑑定、また遺伝子地図作成のために極めて有効な遺伝的標識になるのではないかと注目されている。そこで、本研究の目的は、多くの研究者がどこでも研究に参加できるように、RIを用いずに新たなマイクロサテライトを検出する方法の開発するとともに、実際に新しい変異を見いだすことである。 結果:マイクロサテライト検出のためのプローブDNAにマウス(MUSLYT3AI)とブタ(MP77)のマイクロサテライトの反復配列部位をPCRによって合成したものを用いた。この合成DNAをDIGで非放射性標識した。ブタにおいて実証実験を行った。ブタのDNAを制限酵素(MboI)で処理し、プラスミド(pUC18)のBamHI切断部位にライゲーションし、大腸菌(JM109)に導入後、LBプレートに広げ、コロニーハイブリダイゼーションで、上記プローブによって非RI的に釣り上げた。シグナルの得られたプラスミドをシーケンス後、反復配列部位の両端部の塩基配列に基づきプライマーを合成した。PCR後、RIを用いずに、アクリルアミドゲル電気泳動とエチジュウムブロマイド染色によって変異を検出した。2対のブライマ-(HSW7F:5'GATCTTTCCACTTAACCTTTTTGTC,HSW7R:5'TTTATCATTGTAAGACAGATTTGTA)(HSW9F:5'GGCAAACATTCAGACCAGAG,HSW9R:5'GAATCTGTCCATAATCAAGG)でそれぞれ、新たな二つマイクロサテライトの変異が検出できた(DDBJに登録中)。本実験の結果より、マイクロサテライト変異の全検出過程を非RI的に行える方法を明示することができた。
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