研究課題/領域番号 |
05660327
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 雅保 京都大学, 農学部, 助教授 (10243073)
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研究分担者 |
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
南 直治郎 京都大学, 農学部, 助手 (30212236)
内海 恭三 京都大学, 農学部, 教授 (90033266)
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キーワード | ラット / マウス / 初期胚 / 発生 / コンパクション / 糖鎖 / PHAレクチン / Nグリカナーゼ |
研究概要 |
本研究では、哺乳類着床前初期胚の発生と胚細胞表面糖鎖およびその修飾物質(糖転位酵素、糖分解酵素そしてレクチンなど)による糖鎖変化との関係について検討する。ラット前核期胚は、体外培養において2細胞期でその発生を停止する。しかし従来、ラット胚の体外培養に用いられていた修正KRB培養液からリン酸を除去し、さらにNaCl濃度を118mMから85mMに修正した培養液(RECM)で前核期胚を培養すると、約80%の胚が胚盤胞期へ発生することが明かとなった。しかし受精直後の1細胞期胚をRECMで培養しても、わずか40%の胚のみが胚盤胞期へ発生するだけであった。この結果から、受精直後からの胚発生には、受精から前核期の間に胚が何らかの影響を受ける必要があることが示唆される。そこで胚細胞表面糖鎖の修飾の影響についてPHAレクチン処理について検討した。その結果、受精直後の胚を10μg/mlのPHAレクチンで24時間処理することによって、約80%の胚が胚盤胞期へ発生した。次に、PHAレクチンは細胞凝集活性をもつE鎖と細胞分裂促進活性をもつL鎖からなることから、それぞれのサブユニットの影響について検討した結果、胚発生を促進する活性はL鎖のみからなるPHAレクチンに認められた。従って以上の結果から、ラット胚の受精後から胚盤胞期への発生は、受精後24時間の間にPHAレクチンによる胚細胞表面L鎖特異的結合糖鎖の修飾を受けることによって促進されることが明らかにされた。 さらに、マウス胚の桑実期に起きるコンパクションにおける、胚細胞表面糖鎖の関与について、N結合型糖鎖を特異的に切断する酵素(Nグリカナーゼ)を用いて検討した結果、その酵素処理によって、分割には全く影響がないにも関わらずコンパクションは遅延することから、コンパクションに胚細胞表面上のN結合型糖鎖が関与することが示された。
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