研究概要 |
オウム病クラミジアは偏性細胞内寄生性病原性微生物で,不顕性感染から致死性全身感染まで様々な疾病を引き起こす.病原性発現のメカニズムは不明である.本課題において,我々はオウム病クラミジアの病原性発現に関与する分子を同定し,発現のメカニズムを分子レベルで明らかにしようとした.はじめに,比較生物学的に鍵となる分子の検索を試みた.主要外膜タンパク質および熱ショックタンパク質GroELの塩基配列を解読し,株間の比較を行なった.熱ショックタンパク質の解析により宿主指向性に関連した変異が認められた.一方,主要外膜タンパク質の変異率は種や生物型により異なっていたことから,各種や生物型において機能や免疫応答における役割が異なることが示唆された.血清疫学的調査からネコにおいてクラミジア感染症が日本に存在していることを示唆した.さらに,各血清の反応性から猫由来クラミジアに血清型が存在している可能性を示唆した.猫由来株のMOMPは均一であることから型特異抗原はGroELなどMOMP以外の分子であることが示唆された.以上の結果から,病原性発現に関与する分子は各種や生物型により異なることがわかった.
|