ニジマスサイトカイン(主としてマクロファージコロニー刺激因子(macrophage-colony stimulating factor:M-CSF)のマクロファージに対する作用を検討するための予備実験として、マクロファージに対するボツリヌスC_2毒素の作用機序を調べた。C_2毒素はcomponent IおよびIIよりなる蛋白毒素である。component Iとトリプシン処理したcomponent IIは、ニジマス頭腎マクロファージおよびマウス腹腔マクロファージの合成樹脂ビーズ(ルミスフェア)貧食を阻害した。細胞死を起こさない毒素量でもマクロファージの食作用を阻害したことから、これは毒素の直接的な細胞傷害によるものではなかった。マクロファージのアクチン(非筋肉性アクチン)はcomponent IによってADPリボシル化されることから、食作用の阻害はアクチンの不活化によるものと思われた。さらに、トリプシン処理したcomponent II単独でも食作用を阻害した。今回の結果は、魚類マクロファージも他の脊椎動物同様ポツリヌスC_2毒素に感受性があることを示している。さらに、component IIはマクロファージ細胞膜に結合してマクロファージ活性に影響を及ぼすものと考えられた。今後毒素処理したニジマスにおけるサイトカイン産生(主としてM-CSF)と、M-CSFのマクロファージ活性に対する影響を検討する計画である。
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