研究課題/領域番号 |
05660357
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研究機関 | 日本獣医畜産大学 |
研究代表者 |
植田 富貴子 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 講師 (00168634)
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研究分担者 |
清水 一政 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80060531)
中條 真二郎 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00060517)
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キーワード | バナジウム / カドミウム / 重金属類 / 環境汚染 / 脳 / 循環器系 / 野鳥 / ラット |
研究概要 |
まず種々の速度配分の血管内減速注入法で、カドミウム(Cd)をラットの大腿静脈より速度注入(大腿静脈)し、血中のCd量が30分後に一定レベル(3ppm)に達して、その後2時間まで変化しない速度配分を決定することができた。次に2時間後に、生理食塩水、亜鉛溶液、EDTA溶液で循環系を洗浄し、脳を含む各組織のイオン含有量を、原子吸光法にて検討した。この結果、EDTA洗浄により最も大きな効果が得られ、脳、血管および脾臓では有意にCdレベルが減少した。しかし、骨、腎臓皮質・髄質および副腎では反対に増加し、肝臓では影響が認められなかった。これらの傾向はいづれの洗浄によっても認められた。他方、摘出脳と摘出肝臓切片を用いてCdの取り込みと亜鉛洗浄およびEDTA洗浄を試みた結果、肝臓ではこれらによる洗浄効果が得られたが、脳では得られなかった。以上の成績からCd分布には臓器差があり、今回のin vivoとin vitroの実験結果からこれが各組織の細胞の性質(細胞レベルでのCd分画の差)に依存している可能性が示唆されたので、今後これらの点についてさらに検討を加えたい。 また、野鳥におけるCd汚染の状況の疫学調査を、事故等で得られたカモ類、サギ類および猛禽類の各種の臓器について行い、現在のところカル類(渡りガモ類)では換算して比較した結果、10歳令の正常なヒトよりも汚染度が高い可能性が示唆されている。(特に腎臓・肝臓)。骨に関しては、偏平骨(胸骨)よりも長骨(大腿骨)で汚染度が高いことが示唆されている(1993年6月に一部発表:3rd International Symposium of Parmaceutical Science:Ankara,Turkey)。 以上の重金属の測定には主として原子吸光法を用いた。同時に発光プラズマ(ICP)による分析も行っているが、ICP分析では生物試料に対する分析法が確立していないので、現在、Cdとバナジウムを含む21元素について、その基礎データを蓄積しているところである。
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