研究概要 |
平成7年度は、薬剤耐性遺伝子の形質転換株を用いる微生物学的簡易試験法による残留検査の検討を実施した。形質転換用の遺伝子として、Kanamycin(KM)耐性Escherichia coli(plasmid pHSG298),Chloramphenicol(CP)耐性E.coli(pHSG396),およびAmpicillinおよびTetracyclin(ABPC & TC)耐性E.coli(pHY300PLK)の3種類を用いて、4種類のことなるcompetent E.coli細胞に塩化カルシウム法により形質転換試験をおこなった。得られた各々の形質転換株について、22種類の抗生物質に対する最小発育阻止濃度(MIC)を調べたところ、KM耐性E.coliはフラジオマイシンのみに交差耐性を示し、さらに、CP耐性E.coliは、とくにHB-101とJM109株は、チアムフェニコールのみに交差耐性を認めた。一方、ABPCとTCに耐性を示すE.coliは、数種類のペニシリン、テトラサクリンおよびマクロライド系抗生物質類に交差耐性を示した。本実験において、最も感受性の高かったE.coli ATCC27166株は、8種類の主要抗生物質に対するディスク拡散法によって比較したところ、阻止円径のパターンから3グループに分類された。ゲンタマイシンのみはどの耐性株からも影響を受けなかった。これらの薬剤耐性遺伝子の形質転換株を用いる残留試験法は、食品中の残留抗生物質のスクリーニングに有用であると診断された。
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