鶏肉のサルモネラ汚染を防ぐ目的で、前年度より餌に添加したオリゴ糖がサルモネラを抑制するか否かの実験を行って来たが、今年はサルモネラが増殖する際、腸管粘膜上に存在するレセプターと結合することから、定着を抑制するマンノース残基をもつマンノオリゴ糖を用いて昨年と同様の実験を行い、次のような結果が得られた。 マンノオリゴ糖を餌に0.5%添加短期間投与群において、その後にサルモネラを投与した場合、盲腸内容中のSalmonella Typhimurium(ST)の定着は抑制されなかったが、1%添加短期間投与群では一時的にST定着の抑制が見られた。また、0.5%添加長期間投与群も一時的にST定着の抑制が見られた。これらの結果はフラクトオリゴ糖あるいはイヌロオリゴ糖を用いた場合もマンノオリゴ糖投与の場合と同じように1%添加短期間投与群あるいは0.5%添加長期間投与群にそれぞれ一時的なST定着抑制が見られている。しかし、これらのオリゴ糖では、長期間のサルモネラ定着抑制は見られなかった。これら3種類のオリゴ糖間においては、STの抑制態度にはほとんど差は見られなかった。 本年はマンノオリゴ糖を中心にオリゴ糖で実験を遂行したが、1%添加では短期間投与でサルモネラ定着抑制を示すが、0.5%添加では長期間投与でサルモネラ定着抑制を示した。しかしながら、マンノオリゴ糖はフラクトオリゴ糖およびイヌロオリゴ糖と同様に高価のため、これらのオリゴ糖の濃度では養鶏業界では採算にあわないので、今後は低価格でサルモネラを抑制する方法を検討する必要があると考えている。
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