研究概要 |
ウシ白血球粘着不全症(以下BLAD)牛の病態解析とDNA診断を実施し、下記の結果を得た。 1.好中球膜上の接着分子CD18の発現と機能 好中球膜上のCD18の発現は,ZAS(チモ-ザン処理ウシ血清)およびPMA(ホルボール・ミリスラート)により、有意に増加(12.2%,54.2%)した。BLADの好中球では、発現が確認されなかった。抗CD18抗体処理により、好中球の付着性、走化性および貧食性は有意に抑制された。CD18は、付着に関連した機能に重要な役割を演じていることが確認された。 2.好中球膜上のFc-受容体の発現と機能 BLAD-好中球膜のFc-受容体(Fc-R)は、正常対照に比較して、明らかな増強を認めたが、Fc-Rを介する機能には対照との間に有意な差を認めなかった。 3.BLADキャリャ-牛のPCR法による検出とその分布 BLADの発症が認められた6農家のホルスタイン泌乳牛260頭を対象に,DNA-PCRを実施し、キャリャ-率、年齢、分布について検討した。キャリャ-牛は260頭中26頭(10%)に検出され、各牛群で2.6〜15.2%,年齢は2〜10才に分布していた。BLADの遺伝子頻度は、0.05であった。以上から,BLAD-キャリャ-牛の分布状況が明らかになった。
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