研究概要 |
生物系廃棄物の代表として、家畜ふん(豚)を用い、通気を開始してから、通称1次発酵とされる最高温度出現までのコンポスト化初期過程に関する反応と微生物活性・繁殖との関係を、代表者が開発した小容積実験装置での反応解析、微生物のサンプリングと培養によって比較検証した。本年度は、主として初期過程に出現する1次ピーク(40〜50℃)付近での、微生物数の変化とマクロな温度変化、炭酸ガス放出速度のと相関性に着目した。 既報、および代表者により研究結果を参考にし、初期過程、特に1次ピーク付近の担い手微生物が常温性の一般好気細菌と仮定し、カンテン培地を使用した塗沫平板培養法により、37℃での培養を行った。 その結果、材料の初期生菌数は10^<8〜9>で、コンポスト化反応の進行に伴い、材料温度が30℃にかけて生菌数の増加が認められ、30〜35℃で最高に達し、初期生菌数の3〜10倍へと増加した。これは、初期過程が主に一般細菌の増殖によってコンポスト化分解反応が進行することを示すものと見られた。しかし、分解反応の速度パターンの解析結果(木村ら,1993)の、1次ピーク(温度、分解速度)出現温度40℃付近とは実感のズレが認められた。これは、30〜35℃付近までは増殖に伴う数の増加による反応速度の上昇であるが、それ以上の温度域では、微生物個体の代謝能力に変化が生じたことによるものと推察される。この傾向は、反復実験においても再現性が高く、信頼性があるものとみなされる。
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