研究2年目に当たる平成6年度においては、生物反応プロセスとしてのコンポスト化反応初期における主体微生物叢の追跡、特に常温性から高温性に至る遷移現象を明確に捕らえると共に、それらの微生物密度を測定し、有機物分解反応のパターンと対比することを試みた。 また、コンポスト化実用施設におけるコンポスト化処理中に生ずる材料物性変化を調査して以下のような結果を得た。 1)コンポスト化初期において常温域から高温域にわたるサンプリングによって通常平板培養の培地条件で培養した結果、材料温度が55℃未満の常温域において発現する分解速度極大値(1次ピークと呼称)付近の主役微生物が一般細菌類であり、その細胞数増加特性と炭酸ガス発生速度特性とが一致を見せた。 2)高温域で採取した試料を55、60℃で培養した結果、常温域からの叢遷移や細胞数の明確な変化は認められなかった。これは、培養の栄養条件を定法によっていて栄養がいぜん潤沢であるために独立栄養系の細菌が優占し続けたものとみられたので、実際のコンポスト化を想定して栄養制限条件での培養を試みたところ異種微生物(方線菌とみられる)が優占となり、当初の仮説を指示するものとなっったが、培養による確認法の改善が必要と考えられた。 3)実用施設においては、有機物の分解は初期の30日以内で盛んに行われ、一方その他の物理的指標についてはコンポスト化全体にわたってゆっくりと変化することが分かった。
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