研究概要 |
1994年2月現在で保有している種子数は201科3053種15978点である。日本産の雑草種の大部分は種子を収集することができた。未採集種は不稔であったり,結実率のきわめて低い種が多い。 本年度のもっとも大きな研究実績は,帰化雑草種子の写真を撮影したことと,これが出版できることである。飼料や牧草種子などに混入して外国から日本に入る帰化雑草は農業の上で大きな問題を起こしているが,現在まで日本では種子でもって帰化植物の種を判別できる図鑑がなかった。成植物の写真と形態の記載の付いた写真集は有効に活用されると期待できる。取り上げている種類は主要な種30科168種で,すべての帰化植物,在来の雑草をカバーする事はできていないが,他に類書がなく,実用的にも役立つと考えている。 雑草は人間の活動が直接影響する土地に生えているため,現在では絶滅寸前になっている種も多くなっているが,いわゆる絶滅危惧植物にあたる雑草種の種子をかなり集めることができた。しかしながら,水生植物の種子の保存方法はまだ確立してなく,今後に残された問題である。 種子の利用申込件数も年々増加しており,共同研究を推進するのに役だっている。データベースそのものの利用は外部にオンラインで接続できる状態ではないが,オフラインで外部にも提供できている。
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