13種類のCAM植物を用い、PEPカルボキシラーゼの活性測定における至適pHを明らかにし、各至適条件下でPEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性の昼夜変化の種間変異を調査した。得られた結果の概要は以下の通りである。 PEPカルボキラーゼの活性測定における至適pHは、植物の種によって異なりCAM植物のPEPカルボキシラーゼに変異があることが明かとなった。特にバニラにいては、2種類の至適pHが認められ、同一種内に特性を異にするPEPカルボキシラーゼのIsozymeが混在することが明かとなった。至適pH7.2、ユーホルビア;至適pH7.8、コチョウラン、デンドロビュウム、バニラ;至適pH8.4、アロエ、ホヤ、ギンイチョウ、Crassula argentea;至適pH8.8、ウチワサボテン、ハナガサベンケイ、バニラ;至適pH9.2、ベニベンケイ、セダム、ギンイチョウ。 PEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性についても、種間差が認められた。リンゴ酸感受性が明確な昼夜変化を示すもの(セイロンベンケイ型)として、バニラ。バニラの場合いずれの至適pHにおいてもセイロンベンケイ型の昼夜変化を示した。リンゴ酸感受性の日変化が認められない(パインアップル型)ものとしては、セダムのみであった。セイロンベケイ型とパインアップル型の中間的昼夜変化を示すもの(コダカラベンケイ型)は、コチョウラン、ウチワサボテン、デンドロビュウム、サクララン、C.arugentea、アロエ、ギンイチョウである。ユーホルビアとハナガサベンケイは、セイロンベンケイ型とコダカラベンケイ型の混合型の昼夜変化を示した。 以上のように、本年度においては当初の目的を満たす成果を得ることができた。
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