研究概要 |
近年,農業・生活排水等に起因した窒素,リンによる水圏の富栄養化が急速に進行し,大きな問題となっている。そこで,好水性植物(例えば,ホテイアオイ)や微細藻類を利用して,水中の養分を地上に引き戻し,これを飼料等のバイオマスとして活用する研究を行った。 まず,ホテイアオイサイレージ調製に際し,安価で有用な添加物の種類と量を明らかにするため,キャッサバチップ,キャッサバ粉末,米ヌカ,フスマについて検討した。ホテイアオイ収穫後,水分含量を約70%と80%に予乾し,各材料を5%,10%,15%,0%添加し,各添加サイレージを調製した。 各添加区において,10%および15%添加処理により,それぞれ添加効果が現れ始めた。キャッサバチップの場合,10%添加で,pHが4.2,乳酸含量が4.5%のサイレージが得られた。キャッサバ粉末の場合,15%添加で,pH4.3,乳酸含量3.5%,NH_3-N/T-Nが4.6%の品質となり,サイレージ調製期間中の可溶性炭水化物消費量は,乾物当り10.7%であった。 また,米ヌカ,フスマにおいても同様な効果が認められた。さらに,これら添加サイレージにおいては,乾物消化率の上昇と,中性ディタージェント繊維および酸性ディタージェント繊維含有率の低下が認められた。 以上の結果より,水生植物と農業副産物等を組み合わせることにより,水質浄化と新しい飼料資源開発の可能性が示唆された。
|