研究概要 |
好水性植物および微細藻類による水質浄化は,得られたバイオマスをいかに有効利用できるかがポイントの一つである。 例えば,ホテイアオイの繁茂が環境的脅威となり,その実用化が充分実現化しなし今日(特に東南アジア等)で撲滅作戦がとられているのは,今のところその害作用防止上やむなき手段である。 本研究では,ホテイアオイサイレ-ジ実用化のために必要な技術をいくつか開発した。添加物としては,米ヌカ添加ホテイアオイサイレ-ジの飼料価値を解明し,食品製造副産物である醤油カスも4%〜5%添加で有用であることが分った(ただし作用機作は異なると考えられる)。また,好水生バイオマスとしては他にも,ポンテデリア(北米原産)やマコモが有用であることが新たに判明しつつある。 微細藻類については,海洋性ラン藻(マイアミ大学コレクション)について分析し,120株中,15株が有望であることが分った。さらに,これら有用ラン藻と思われる株のうち,分析に必要な量が培養できた10株について飼料価値を一部分析した結果,粗タンパク含量は56.1〜62.3%と高く,in vitro乾物消化率は69.7〜96.8%とクロレラ等よりもはるかに高いことが分った。また,これらの株は,リノール酸やα-リノレン酸等の(n-3)PVFA(多不飽和脂肪酸の合計割合が高く,30%以上を示す株がほとんどであった。 以上の結果より,好水性植物や微細藻類を組み合せた水質浄化とそのバイオマス利用の可能性が示唆された。
|