研究概要 |
複合糖質中に含まれる接着機能性オリゴ糖鎖の構造活性相関の解明と、新機能の開発研究については、シアリルLe^Xガングリオシド中のシアル酸部分と、L-フコース部分に化学修飾を加えることにより、各セレクチン(E-,P-及びL-セレクチン)に対する糖鎖構造要求性の系統的解析を行った。その結果、シアル酸の側鎖(7〜9位)は、活性発現に関与しないこと、5位のアセタミド基は、水酸基(すなわちKDN)に置換しうること、1位のカルボキシル基は、活性発現に不可欠であることが明らかとなった。一方、L-フコース部分の水酸基は、全てが活性発現に不可欠(E-,P-,L-セレクチン)であると同時に、選択的接着機構も存在していることが明らかとなり、選択的な機能の発現が制御しうる可能性も示された。 ガングリオシドには、免疫抑制効果が知られている。特にガングリオシドGM_4,GM_3とその同族体に強力なT細胞増殖抑制効果が見出された。この知見に基づき、各種の鎖長を有するGM_4,GM_3誘導体を系統的にデザインし、免疫抑制機能を有する新機能性糖鎖複合体の開発を行った。 一方、1-デオキシノジリマイシン及びその誘導体を機能性糖鎖中に導入した、新機能性糖鎖ミミックの分子設計を行った。その結果、トリパノソーマ・クルーズ(眠り病原因 ベン毛虫)のトランス・シアリダーゼを阻害する化合物を見出した。
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