研究概要 |
(1)複合糖質中に含まれる接着機能性オリゴ糖鎖の構造活性相関の解明:前年度において、シリアルLewis Xガングリオシド中のシアル酸部分とL-フコース部分に化学修飾を加えることにり、糖鎖構造要求性の系統的解析を行った(Glycobiology,3,633-639,1993)。その結果に基づいて、レクチン型細胞接着分子(セレクチン・ファミリー,LEC-CAMS)が認識する糖鎖リガンド構造を官能基レベルで追究した。すなわち、シアル酸の硫酸基への変換ならびにセラミドの人工脂質への変換により、天然型シアリルLewis Xガングリオシドよりも接着能力を有する新機能糖鎖の開発に成功した。この分子は、E-,P-,L-セレクチンの全てに対して有効であり、E-セレクチンに対しては完全にCa^<2+>依存性,L-セレクチンに対しては50〜70%,P-セレクチンに対しては殆んどCa^<2+>依存性を示さない。この発見によって、セレクチンの結合サイトが陰イオン性サイトとCa^<2+>結合性サイトに集約されることが明らかとなった。この分子は現在、抗炎症モデルを使った応用研究に供されている。 (2)1-デオキシノジリマイシン及びその誘導体を糖鎖中に導入した新規機能性糖鎖ミミックの分子設計:上記の新知見に基づき、1-デオキシノジリマイシンの酸素阻害性を利用した糖鎖新機能の開発を行った。その結果、N-アルキル-1-デオキシノジリマイシンを含有するシアリルLewis X及びシアリルLewis A糖鎖に強力なセレクチン結合阻害活性が見出された。
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