研究課題/領域番号 |
05670020
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
島田 達生 大分医科大学, 医学部・解剖学, 助教授 (80080555)
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研究分担者 |
北村 裕和 大分医科大学, 医学部・解剖学, 助手 (70115559)
中村 三雄 大分医科大学, 医学部・解剖学, 教授 (70022770)
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キーワード | 脈管外通液路 / 篩状斑 / 前リンパ管通液路 / 横隔膜 / リンパ管 / 鍍銀法 / 走査電子顕微鏡 / 透過電子顕微鏡 |
研究概要 |
木原(1956)は細網線維鍍銀法を使って、ヒト横隔膜腹側の中皮下結合組織内に特異的な篩状構造を見出し、これを篩状斑Macula cribriformisと名付けた。また、腹腔内に注入されたカーボンは横隔膜腹側の中皮細胞間に見られる小口stomataを通って中皮下の毛細リンパ管の一つである前リンパ管通液路であると仮定した。篩状斑の構築は超薄切片の透過電子顕微鏡観察(TEM)や通常の走査電子顕微鏡(SEM)観察では捉えがたい事から、長い間解明されていない。今回、我々は成熟ニホンザル、ラット、マウスにおける横隔膜の篩状斑の立体構築および篩状斑とstomataや中皮下毛細リンパ管との位置的関係をSEMとTEMで調べた。 1)篩状斑は横隔膜腹側の中皮直下に見られ、胸側には存在しない。篩状斑はサルやラットでは筋内部と腱中心に多数見られるが、マウスでは筋肉部に集中している。篩状斑の形はサルでは類円形、ラットやマウスでは紡錘形のものが多く、多形体のものも時々見られる。篩状斑の大きさはまちまちで直径20〜300μmであり、サルでは大型のものが多く、マウスでは小型である。篩状斑は直径3〜15μの小孔を有し、大型のものは約200〜300個、小型のものは5〜10個の小孔を持つ。篩状斑は直径100〜120nmの膠原細線維の束がまず骨格を作り、さらにその細線維側のまわりを80nmの膠原細線維が輪状に束ね、不動の構築を形成している。 2)横隔膜腹側は一層の中皮細胞から縁取られ、二種類の細胞が同定できる。一つは大型で自由面が比較的平坦であり、他は小型で腹腔面が半球状に膨留している。小型の中皮細胞間のみに類円形stomataが存在する。stomataをもつ小型中皮細胞群の直下に篩状斑が位置している。又、篩状斑がある領域の下位を毛細リンパ管が走っている。このように、腹腔-stomataを持つ中皮-篩状斑-毛細リンパ管という一連の系が横隔膜に存在する。 3)篩状斑の小孔内にマクロファージや赤血球がしばしば見られる。腹腔内に注入されたラテックスは横隔膜腹側の中皮細胞間のstomataから入り、篩状斑の小孔を通って中皮下毛細リンパ管に吸収される。 横隔膜の篩状斑は腹腔からの液成分、粒状物質および細胞成分の通過を許し、木原のいう前リンパ管通液路として機能していることが示唆される。
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