研究課題/領域番号 |
05670031
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
相川 英三 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40048989)
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研究分担者 |
安井 寛 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60210241)
中沢 倶子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40075437)
神田 尚俊 東京農工大学, 農学部, 教授 (40075429)
西川 恵 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80120020)
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キーワード | steroid sulfatase / arylsulfatase C / in situ hybridization / 酵素組織化学 / 分子生物学 / 免役組織化学 |
研究概要 |
Steroid sulfatase(以下STS)は、strage typeのestrone sulfateをactive formのestroneに変換する酵素である。STSは、ヒト胎盤の合胞体栄養細胞に存在し、母児間のestrogenの調節をつかさどる。Xp22.3に遺伝子座をもち、胎盤の酵素活性が欠損した場合は、伴性遺伝性魚鱗癬を生ずる。胎盤以外にも子宮筋腫や乳癌組織に存在する。近年、性steroid hormoneは、細胞増殖やcancer inductionに関与することがわかってきた。STSによって活性化されたestrogenは、estrogen receptorに結合し、細胞増殖に作用すると考えられる。 腎において、尿細管も、steroid hormoneの代謝に関与し、また、そのの標的器官でもあることが指摘されているが、その詳細については明らかではない。今年度は、昨年度作成した抗ヒトSTS抗体を生かして、ヒト腎組織の広範囲な局在について検討することが可能であった。23例の腎組織において、抗体を用いた検索をおこなった結果、女性の腎癌、3例において、強い陽性所見が認められた。男性腎癌、女性の結核、健常腎では陰性である。STS活性は、近位尿細管のendoplasmic reticulumに広範囲に認められた。電顕では、ミトコンドリアの間、一部粗面少胞体に、mRNAが観察された。In situ hybridization法で、mRNAの発現が見られることから、近位尿細管で、STSが産生されていることが明らかであり、腎での細胞増殖に関与すると考えられた。STS-geneの存在部位は、LyonらのX inactivationをescapeすることが知られている。その機構については不明の点が多い。今後、このなぜ、女性のみ強く発現するかについて、検討する予定である。
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