今年度は次の2点に焦点を絞って研究を行った。 1)超高圧電子顕微鏡によ星状グリア細胞突起のコンピュータモグラフィ(CT)解析:Golgi染色、プラスチック包埋を行ったラット脳星状グリア細胞の厚い切片(2〜3μm)を作製し、1000KV超高圧電子顕微鏡を用い、2°間隔で±60°連続傾斜写真を撮影した。この連続傾斜写真について、シリコングラフィクス社、オニクス、リアルエンジン2コンピュータを用いてCT立体解析を行い、三次元画像化に成功した。なお表面積計算、体積計算のための上記設定実験を継続中である。 2)グリア抗原、S100タンパクに対する抗体を用いてラット脳グリア細胞の免疫染色を行い、光学顕微鏡レベルでは星状グリア細胞のゴルジ染色像にほぼ近い染色像を得たので、これを用いて、超高圧電子顕微鏡によるCT解析を試みた。今年度の実験ではまだ充分なコントラストを得ることができなかったので、さらいコントラストの強化をはかる必要がある。 一般的には超高圧電子顕微鏡のレンズを改良し、試料面で照射電子線を平行にしたこと、および後焦点面に対物絞りを入れたことによって像質が著しく向上したので、今後の結果に期待している。
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