新生児ラット(生後0-14日)腎臓の組織標本(H-E染色)を作製し、尿細管の形態変化を調べた。生後1日以内では皮質部が断面積の80%を占めたが、生後7-14日で皮質-髄質比は等しくなった。髄質集合管は、生後2-7日の間に、分岐、合流が急速に発達すると思われる。抗利尿ホルモンV2受容体の発現を、蛍光抗体法を用い調べた。コラゲナーゼ処理直後の単離集合管には、二次抗体-FITCの強い蛍光が見られた。生後4日目において、尿浸透圧は700mOsmになった(脱水7時間)。 生後0-3日の腎集合管短期培養細胞を用い、パッチクランプ法でイオンチャネルの発現を調べた。Ca依存性チャネル(150pS)と非選択性力チオンチャネル(34pS)を同定した。これらのイオンチャネルは、尿中イオン組成の調節に重要な役割を演じていると考えられる。 細胞外ATPによる細胞内Caの増加機序を、共焦点レーザー顕微鏡を使って調べた。ATP投与前の細胞質内、核内蛍光強度はほぼ同レベル(約40)であった。ATP投与後、2-5秒で蛍光強度は増加を開始し、約5-15秒で最大値を示した。細胞質内、核内蛍光強度増加は、ほぼ同じ速度であったが、核内蛍光強度の方が細胞質内蛍光強度より大きく増加した。このため、蛍光強度の比R(核内/細胞質内)は、1.02から1.71になった。細胞外ATPに反応する細胞数と蛍光強度の増加はATP濃度依存性に増加した。しかし、細胞外高カリウム溶液、カフェイン(30mM)、ADP、AMPは、細胞内カルシウム増加をひきおこさなかった。細胞外UTPは、ATPと同様の細胞内カルシウム増加反応をひきおこした。このことから、細胞外ATPに反応する受容体のサブタイプは、P_<2U>であると推定された。
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