研究概要 |
本年度の研究は主に3つの大きな成果が得られた。 (1)Ca^<2+>放出を担うリアノジン受容体チャネル(RYR)の細胞内抑制機構を単一チャネル電流記録により明らかにした。Mg^<2+>は濃度依存性にRYRの開口を抑制し、そのC_<1/2>は70μMで完全抑制は1mM以上であった。またMg^<2+>の抑制効果は細胞内Ca^<2+>濃度依存性であり、RYRのCa^<2+>による活性化部位で競合して作用していた。またチャネルのコンダクタンスを低下させる効果をも有しMg^<2+>はチャネルの孔に直接プラグしてその開口を抑制する作用も有することが判明した。この研究は現在論文に執筆中である。 (2)心筋収縮抑制剤であるCa拮抗剤がリアノジン受容体(RYR)に対して直接作用を有するか否かを単一チャネル電流記録で解明した。VerapamilはRYRの開口を一過性に増大し、その後抑制する二相性の効果を示した。この初期増大は開口の時定数の延長と閉口の長い時定数の成分のWeightの現象により、また抑制効果は開閉の時定数の変化は伴わず閉口の長い成分のWeightの増加によっていた。この成果は循環器学会総会にて発表した。 (3)筋小胞体からのCa^<2+>放出により細胞内Ca^<2+,>〔Ca^<2+>〕_i,の濃度は瞬時変化をするが、この〔Ca^<2+>〕_iにより活性化されるCl-チャネルのが心筋の細胞膜に存在することをパッチクランプ法により明らかにした。この電流は生理的濃度の〔Ca^<2+>〕_iにより活性化され、またその電流値は濃度依存性に増大した。この電流の電気生理学的特性、イオン透過性、活性化の機序を明らかにし、その詳細を論文にまとめた。Journal of Physiology London inpress.
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