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1994 年度 実績報告書

蛋白質工学によるヘモグロビンのリガンド親和性制御機序の研究

研究課題

研究課題/領域番号 05670043
研究機関大阪大学

研究代表者

今井 清博  大阪大学, 医学部, 助教授 (50028528)

研究分担者 宮崎 源太郎  大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (50166146)
小坂 博昭  大阪大学, 医学部, 講師 (60158897)
キーワードヘモグロビン / 酸素親和性 / リガンド親和性 / 蛋白質工学 / 部位特異的変異導入 / 人工変異体 / 種の適応
研究概要

ヘモグロビン(Hb)の酸素親和性は動物種の棲息環境に応じて25,000倍の幅で制御されているが、その制御がアミノ酸配列の差によって如何にして実現されているのかを知るために、本年度はヒト・ヘモグロビンのヘム鉄に結合している近似His残基すなわちHis-87αとHis-92βを、蛋白質工学の技術によって、異なるアミノ酸で置換した下記の4種類の人工変異ヘモグロビンを合成し、それらの酸素結合特性を解析して以下の結果を得た。
1.His-87α置換体((1)Hb H87αI(His→Ile)、(2)Hb H87αA(His→Ala)、(3)Hb H87αF(His→Phe))
正常ヘモグロビン(Hb A)に比べて、酸素親和性は(1)は正常、(2)は1.6倍高く、(3)は12倍低い。IHP(イノシトール六リン酸)の効果は全変異体とも減少、Bohr効果は(1)と(2)では減少、(3)では消失、共同効果(ヘム間相互作用)は(1)でほぼ消失、(2)と(3)では消失した。
2.His‐92β置換体((4)Hb H92βY)
Hb Aに比べて、(4)の酸素親和性は2.6倍高く、IHPの効果は増大し、Bohr効果は正常、協同効果は減少した。
これらの実験結果は、近似HHisはヘモグロビンの酸素親和性制御に強く関わっていることを示している。今回のデータは、(3)と(4)の親和性の比の31倍の酸素親和性の制御が、近位側アミノ酸残基によってできることを表している。しかし、前年度や他の研究者のデータを併せて検討すると、ヘム周囲のアミノ酸残基の置換のみによる親和性制御では、25,000倍には遥かに及ばないことが分かる。何か他のメカニズムを考慮しなければならない。なお、当初予定していたPhe‐CD1残基の変異は、グロビンが極めて不安定になることが異常ヘモグロビンの知見から予測されたので、今回は断念した。

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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