【.encircled1.】Na-Ca交換電流については、昨年度に引続いて、細胞外Mgイオンの外向き交換電流に対する抑制効果を調べた。細胞外Mgイオンは、細胞外Caイオンに対して非競合的拮抗をし、その結合定数は約21mMであることを確かめた。更に、非競合的拮抗のうち、混合型でなく、純粋な非競合的拮抗型であることが示唆された。この結果は、昨年8月英国のグラスゴウで開かれた国際生理学会で発表した。この結果を更に発展させて、細胞外Mgイオンが、内向き交換電流に対しても抑制効果を示すかどうかを今、調べている所である。 【.encircled2.】交換電流とは別に、alpha1受容体刺激薬、フェニレフリン(PHE)の、ラット心室筋の一過性外向きK電流(i_<TO>)と内向き整流性K電流(i_<K1>)に対する抑制作用は、alpha1受容体のサブタイプ、alpha1A、alpha1B、alpha1Cのうちのどれを介して起こるかを調べた。alpha1Bの特異的阻害薬であるクロルエチルクロニジン(CEC)25muMを30分作用させた後、洗い流し、PHE30muMを作用させると、2つのK電流に対する抑制作用は、完全に阻害された。従って、PHEの作用は、alpha1Bサブタイプを介する可能性が高い。さらに、それを支持する結果として、オキシメタゾリン(OXM)10muMは、同濃度のPHEより強いK電流抑制作用を示した。OXMは、alpha1B受容体のみでPHEより親和性が高い。従ってK電流抑制作用は、alpha1B受容体サブタイプを介して起こると結論した。これらの結果の一部は、弘前の薬理学会北部会で発表し、残りは京都の薬理学会総会で発表する。 【.encircled3.】心室筋細胞のK電流に対する加齢の影響を調べるため、8週齢と24週齢のラットを用いた。8週齢では、I_<TO>は、12.9±5.8muA/muF、I_<K1>は-15.9±3.2muA/muF(n=5)、24週齢では、I_<TO>は13.5±4.8muA/muF、I_<K1>が-13.7±3.8muA/muF(n=6)であった。異なる週齢のそれぞれの電流値には優位差がなく、8週齢と24週齢では、I_<T0>とI_<K1>の電流密度は変わらないことが解った。
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