接合尿細管(CNT)は副甲状腺ホルモン(PTH)によるCa排泄調節部位だが、単離尿細管潅流法で測定したCNTの^<45>Ca輸送は、還流速度が速い実験では遅い実験より数倍大きく、原尿の流れや管腔内圧がCa^<2+>の再吸収速度に影響する可能性がある。この仮説を確かめるため、fura2を負荷してCNTの細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)を測定した。潅流圧を0.2KPaから1.2KPaに上げると([Ca^<2+>]_i)は42±11nM上昇し、圧依存性Ca^<2+>流入が確認された。10nM PTHは、この反応を101±30nMに増大させ、同様な促進効果は、0.1mM Chlorphenyl-thio-cAMP(CPT-cAMP)でもみられた。圧依存Ca^<2+>流入は管腔内Ca^<2+>を除くと消失したが、10μ Mnicardipineでは阻害されない。1.2KPaで定圧潅流したCNTに10nM PTHを投与すると([Ca^<2+>]_i)は31±7nM上昇したが、0.2KPaでは6±2nMに過ぎない。10μ M Gd^<3+>は50nM PTHで上昇した[Ca^<2+>]_iを90±19%抑制したが、nifedipineやbenidine は100μ Mでも20-30%しか抑制しない。一方、CNTの管腔側膜を反転露出し、cell-attachedパッチクランプで、200mM CaCl_2を満たしたピペットから記録した単一チャネル電流(42±2pS)は、ピペット内に-4.9KPaの陰圧をかけると平均開チャネル数(NP_0)は、0.005±0.001から0.022±0.005に上がり、0.1mM CPT-cAMPは、さらにNP_0を0.085±0.014に増大させた。同様な単一チャネル電流(173±7pS)は、140mM NaClを満たしたピペットからも記録できた。CPT-cAMPは、陰圧負荷しないチャネルの活性は促進できなかった。また、管腔内投与した10μ MGd^<3+>は、PTHで引き起こされる管腔内電位の初期の過分極に影響せず、Ca^<2+>流入で起こるamiloride感受性Na^+チャネルの抑制による後期の脱分極を抑制した。圧依存性Ca^<2+>流入と膜張力依存性陽イオンチャネルの性質は一致し、膜張力依存性陽イオンチャネルが接合尿細管管腔側膜のPTH依存性Ca^<2+>流入の主要経路であること、このCa^<2+>の再吸収が管腔内圧、または、原尿の流れに依存するとことが明らかになった。
|