研究課題/領域番号 |
05670061
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
松川 寛二 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (90165788)
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研究分担者 |
二宮 石雄 広島大学医学部, 保健学科, 教授 (80033976)
西浦 直亀 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70132933)
進藤 哲明 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (30235775)
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
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キーワード | 軟X線血管造影 / 骨格筋微小血管 / 交感神経 / コリン作動性血管拡張 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
1.骨格筋微小血管系の動的変化を可視化する方法を開発するという当初の研究計画を達成した。ネコ後肢血管運動の動的変化を観測するため、X線TVカメラを用いて軟X線爆射中に大腿動脈から注入した造影剤の流れを毎秒30コマの速度で撮影しビデオ画像から血管内径・血流速度・血流量の動的変化を解析した。後肢動脈系の分岐にそって太い動脈(内径1500-500mum)から骨格筋(下腿三頭筋)内微小動脈(内径500-100mum)に至る血管像を観測した。同時に、大腿動脈血流量を計測し後肢血管抵抗を求めた。この新しいX線TVシステムを用いて、交感神経コリン作動性線維の刺激および一酸化窒素(NO)など内皮細胞由来の血管作動物質に対するマクロな血管抵抗・太い動脈枝・骨格筋実質内微小動脈の応答を調べ新たな知見を得たので、その研究成果の概要を以下に報告する。 後視床下部を電気刺激した時、後肢血管抵抗は減少し大腿動脈血流量が増加した。この変化はアトロピンにより遮断されたため、コリン作動性交感神経が視床下部刺激で興奮し後肢血管を拡張させたと考えられる。筋肉実質外の太い動脈群(>500mum)の中で筋枝の血流速度は約2倍に増加したが、皮枝の血流速度は変化しなかった。この結果からコリン作動性交感神経は骨格筋血管を特異的に拡張させることが判明した。しかし筋肉実質外の太い動脈の内径は変化せず、これは血管拡張部位ではなかった。対照的に、視床下部刺激により骨格筋内の微小動脈内径(100-500mum)は約50%著明に増加した。この結果から、コリン作動神経性血管拡張は筋実質内の微小動脈で起こることが明らかになった。NOが骨格筋血管運動に与える影響について、NO合成阻害剤を動脈内投与し筋微小動脈の内径変化を調べた。投与後、筋微小動脈の内径は変化しなかったが、視床下部刺激による血管拡張は減少した。NOはコリン作動神経性血管拡張に一部関係する事が示唆された。
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