研究課題/領域番号 |
05670064
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
紫藤 治 金沢大学, 医学部, 助教授 (40175386)
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研究分担者 |
高畑 俊成 金沢工業大学, 助教授 (90159004)
田辺 実 金沢大学, 医学部, 助手 (20217110)
櫻田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 助手 (00215691)
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キーワード | 体温調節 / 温熱負荷 / 運動鍛練 / 適応 |
研究概要 |
本年度は、自発輪回し行動による運動鍛練がラット体温調節反応をいかに修飾するか検討し、以下の成果を得た。 1.ウイスター系雌ラットを環境温24℃、明暗周期12:12時間、自由摂食摂水下、輪付きケージで12週間以上飼育した。この間、運動群には自発運動を許し、対照群は輪回し行動を行わせなかった。これら2群につき、静脈内に慢性的に植え込んだ水灌流型サーモードにより、深部体温を上昇あるいは下降させ、皮膚血管拡張反応発現時および熱産生上昇時の閾値体温を決定した。安静時、運動群の深部体温は対照群に比し有意に高かった。体温調節反応発現閾値は運動群で高い傾向にあった。 2.上述実験と同様な方法で、ラットを運動群と対照群に分けた。ラットを直接熱量計内に入れ、腹腔内に慢性的に植え込んだ電熱器により加温、あるいは、熱量計内温を徐々に上昇させた。腹腔内加温中、運動群の深部体温の上昇程度は対照群比し有意に小さく、非蒸散性熱放散量の増加程度は有意に大きかった。しかし、環境温の上昇時、運動群の深部体温の上昇程度は対照群比し有意に大きかった。 3.以上から、自発輪回し行動による運動鍛練によりラットの体温のセットポイントが上昇することが示唆された。また、運動鍛練動物では体内からの温熱負荷に対する体温調節反応は促進されるが、環境温上昇に対する体温調節反応は抑制されると推察された。 本方法で運動鍛練したラットは手術侵襲に対し極めて脆弱で、術後半数近くが死亡した。このため、当該年度中に予定していた輪回し行動を一日の内一定時間帯に限る様式で運動鍛練したラットの体温調節反応は検討できなかった。今後、運動鍛練方法の見直しや術式の改善を行い、運動鍛練が体温調節機能に及ぼす効果につき更になる検討を望んでいる。
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