研究課題/領域番号 |
05670071
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 助手 (70195923)
|
研究分担者 |
高瀬 幸子 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 教授 (10046196)
|
キーワード | ラクターゼ / スクラーゼ / mRNA / 微縅毛膜 / 糖質 / 脂質 / 小腸縅毛 / 胆汁酸 |
研究概要 |
ラクターゼ遺伝子の発現量の変動要因についての検討をおこなった。吸収細胞の成熟に伴った発現をみるために、ラット空腸組織を縅毛-クリプト軸にそって分画し、ラクターゼmRNA量の分布を調べたところ、このものは、スクラーゼ-イソマルターゼ(S-I)複合体遺伝子や他の消化・吸収関連遺伝子とは異なり、縅毛の先端に近い部位で最大に発現していた。従って、ラクターゼ遺伝子は吸収細胞の成熟に伴って徐々に転写を受けるものと推察された。ショ糖の摂取により3時間以内にラット空腸のラクターゼmRNAとS-I複合体mRNAの量は有意に増大し、このときラクターゼmRNA量の増大は縅毛の全域で起こっていた。また、この増大は予めActinomycin Dを腹腔内に投与することによって完全に阻害された。従って、糖質の摂取はS-I複合体とラクターゼの遺伝子の転写を共通の機構で調節するものと考えられた。ラクターゼ遺伝子の転写調節領域を明らかにするために、ラクターゼ遺伝子の5'上流領域をPCR法で増幅した。次年度はこのDNA断片を用いて転写調節印紙の検出・同定をおこなう予定である。 ラクターゼの細胞内プロセシング・転送について免疫電子顕微鏡法を用いて検討してみたところ、S-I複合体などとは異なり、ラクターゼは微縅毛膜以外に側面膜にもかなりの量が存在することが明らかになった。従って、ラクターゼは翻訳後の修飾の過程でも複雑な制御を受けるものと推察される。さらに微縅毛膜のラクターゼ活性が管腔内の因子によってどの程度変動するかを明らかにするために、胆汁酸についてin vitroで検討してみたところ、微縅毛膜のラクターゼ活性は生理的な濃度(1-10mM)の胆汁酸(特に抱合型胆汁酸)によって容量依存的に膜から遊離・失活した。この結果は食事条件で管腔内の胆汁酸濃度が変動した場合にはラクターゼ活性も大きく変動する可能性を示唆している。
|